剱岳:扇沢~源次郎尾根
2017 / 05 / 22 ( Mon )
2017年5月2日~6日  剱岳:扇沢~源次郎尾根  藤・西

 3月の始め頃、藤さんから「黒部横断」の話があった。難しいのは承知の上、なかなか興味深い提案ではないか。4年間の継続業務が一段落ついて無気力の極みだったが、ちょっとやる気が出てきた。黒部横断について調べ始め、併せてボッカ練習も開始。「黒部横断」と一言で言っても、色々なルートが設定でき、そのどれもが一般的なルートと言えるものではなく、突破するって感じが何とも魅力的だった。手始めに、五竜-S字峡-仙人山-剱岳-早月尾根という計画を立ててみたものの、我々のスピードでは相当の日程が必要で、具体化は難しいなー、と一旦振り出しに戻り・・紆余曲折あって、黒部ダム-内蔵助平-真砂沢ベースで、剱岳(源次郎尾根)と池ノ平に行ってみようという「黒部横断 西半分」計画と相成った。
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■5/2夜、大和高田を8時半頃に車で出発。扇沢に3時前に到着。車中で仮眠。
 
■5/3、6時前に扇沢の駅に行ってみるが既に長蛇の列。始発の6:30には乗れず、7時のトロリーバスに乗り込んだ。黒部ダム駅で降りた登山者は単独行者を含め4パーティだった。多数の観光客から離れて淋しいほどに静かだ。
 準備をして8時出発。黒部川まで下りて川沿いに歩く。雪が多く、谷の出合がある度にデブリが川を埋めており、スノーブリッジとなって川を渡れる。水位も低いので現状では徒渉も可能だ。しばらくは歩きやすい右岸の平場を選んで歩き、内蔵助谷の出合の少し前でうまい具合に左岸にわたることができた。
 9:30 内蔵助谷を登り始める。明確なトレースがないので歩きやすそうなルートを探りつつ歩くが、雪が腐っていて難儀する。12時前に内蔵助平(くらのすけだいら)に到着。黒部駅から同行となった単独のスキーヤーは、ここでテント泊とのこと。おそらく今夜はこのだだっ広い雪原でひとりぼっちだろう。
 内蔵助平の緩い斜面を歩くうち、藤さんの足の調子が悪くなってきた。少し長めの休憩をとった後、ハシゴ谷乗越の急斜面にとりつく。谷を行く夏道とは異なる尾根ルートに明確なトレースを先行の4人パーティが残してくれていたので登りやすい。14:30にようやく乗越を越える。ここから下りになって楽になるかと思っていたが、腐った雪に嵌まるばかりでなかなか進まない。1時間ほどで剱沢に合流するも疲労困憊。最終日の下山時にこのルートを取ることも想定していたが、この腐った雪面を登り返すことは考えたくない。
 剱沢には人の気配が全くなく、不気味な雰囲気が漂っている。直ぐに真砂沢ロッジが見えると思っていたのに、ロッジがどこにあるのか判らない。ロッジを探しながら沢を登ると、真砂沢出合付近に雪で埋まった平場があった。おそらくロッジは雪の下にあるのだろう。ここにテントを張る。
 
■5/4、今日は源次郎尾根へ行く日。早朝出発。長い一日の始まり。
  源次郎尾根の取付に到着。明確なトレースはない。ルンゼの長い雪面を登り始める。アイゼンは効くが、足をしっかりと置ける場所がなく休むことが出来ない。「誰も登っていないのか」と思っていたら、単独行者がルンゼの上部からクライミングダウンしてきた。一峰まで行ったが、調子が悪いので下山してきたとのこと。この下山者のトレースは、強く蹴り込んでいたため、ステップが大きく大変登りやすい。以後、これを利用させていただく。ルンゼは上部で左右に分かれており、この右俣にトレースは続いていた。通常登るべきルートは左俣であることは判っていたが、登る前に読んでいた概念図によると正規ルートは左側の尾根ルートに合流し、突き当たった雪壁を右に回り込んで稜線に出ることになっていたので、おそらく我々は右側にショートカットして正規ルートに合流するに違いないと考えていた。以降もトレースに沿って登っていく。かき氷で出来たような支持力の無い急な雪壁を登り、所々にシュルンドのような見えない落とし穴に嵌まり込みながら、スタカットで進む。「本当に源次郎尾根稜線に合流するのだろうか」という疑念が徐々に大きくなってきた。気温が上がるにつれて雪の状態は益々悪く、来た道を引き返すのは危険だ。雪崩れそうな大き急傾斜面をどうにか抜けて、午後になる頃から次第に斜度が緩くなり、一峰らしき頂きが近づいてきてようやく到着。いやー。ルートに戻れて良かった。しかし、ルンゼを登り切ってから一峰までのわずかな距離で大分時間を費やし、そしてこれから雪の腐る時間帯に一峰から二峰の雪稜を通過することとなってしまった。
 一峰の下降ではロープを外したが、二峰の登りから、雪の状態が悪いため再びスタカット。今回、30mロープ2本でやってきたため、スタカットではせいぜい20数メートルしかロープを伸ばせない。40~50mに1回程度スタンディングアックスビレーのセッティングを行うこととなり、時間と根気を大いに消耗した。
 二峰からの細い雪稜。藤さんがリードした後に私がフォローする時、「サングラスが曇って見えにくいな。」「バイルの流れ止めのロープがうまく手首に回らない。まっいいか。」「急いで行かなきゃ時間が無い。」などとよそ事を考えながら、小さな雪のステップに足をのせると、あっさりとステップごとズリ落ちた。藤さんがスノーバーで中間支点を構築してくれていたので落下距離は小さくてすんだが、一番緊張して臨むべきところだったのに情けない。外れたアイゼンを付け直して登り返したが、動揺で動きがぎこちない。ツルベでリードを交代するときに更にずっこけたが、どうにか二峰からの懸垂下降点まで辿りついた。約25mの懸垂下降。私が先に下降し、次に藤さんが下りてきたが忘れ物でプルージックで登り返し。私が落下したので藤さんも調子が狂ったのでしょう。ほんとに申し訳ないことでした。
 藤さんが下りてくるのを待ちながら、「天候は安定しているし、ルートには困難な場所は無さそうやけど、時間的に厳しいか」「明日、もう一度チャレンジするとか無理だろうか」と考えを巡らせていた。下りてきた藤さんは「まだワンチャンスあるんとちゃう」と言ってくれたので、チャレンジ続行決定。
 再スタート。気温が下がって雪が安定してきて歩きやすい。藤さんも調子よくずんずん登る。剱岳頂上に到着。斜めになった日差しがくっきりと山の端を照らして美しい。剱岳頂上からの景色を独り占めした気分だ。藤さんがフルーツ蜜豆の缶詰を開けてくれた。何という贅沢だろう。
 下山を開始。しばらくは緩やかに尾根を下るが、長次郎谷左俣のコルに下りるところが急な雪壁になっており、ロープを出すことにする。薄暗いながらも、まだ視界が効くうちで良かった。下部で大きなシュルンドにはまり込んだが、ロープをつけていたので助かった。
 ヘッドランプをつけて長次郎谷を下る。夜だというのに寒くなく、半月の明かりのおかげで山のシルエットがくっきりと見える。下りはじめは、腐った雪にはまりながらで思うように進まないので、比較的堅いデブリの上を行く。夜だというのにライチョウの鳴き声がする。雪解け水が流れる音、氷のブロックが崩れる気持ち悪い音。それ以外は静寂。ビバーグ体制で来てはいるが、穏やかな天候で、且つ安定した谷ルートだったので、ともかくテント場を目指して下る。時間の経過とともに気温が下がってきて、表面が凍って次第に歩きやすくなってきた。剱沢出合からが意外に遠い。ヘッドランプでは遠くの大きな地形が判らないので、どのあたりを歩いているのか判りにくい。ようやく 真砂沢のテント場に到着。ラーメンを作って酒を飲んで就寝。長い一日の終わり。
 
■5/5 ゆっくりと寝て停滞だ!と思っていたのに、明るくなると目が覚めてしまう。二度寝、三度寝を試みるも限界で行動した。昨晩の予定メニューだったカレーを食べて、今日の予定コース池ノ平往復は無理だが、途中の近藤岩まで景色を見に行くことにした。8:40に真砂沢を出発。剱沢を下ってのんびりと歩く。今日も良い天気で景色は最高。10時前に近藤岩に到着。北俣から三の窓を眺める。気温が上がってきて、三の窓雪渓の左側面からの大きな雪崩を目撃した。恐ろしい。引き返し、テント場に正午頃に到着。やっぱり疲れが残っている。しんどいけど、明日には天候が崩れるので、出来るだけ室堂に近づいて下山のことを考えておいた方が良い。テントを撤収して、剱沢小屋に向けて13時出発。今夜は小屋に入ってビールを飲もうなどと考えていた。
 昨夜下りてきた剱沢を再度登り返す。全装備を担いでいるのでペースはゆっくり。八つ峰の末端部が眺められる場所まできたら、対岸のルンゼで表層の雪が流れ出すのが見えた。これがいつまでも止まらない。速度のゆっくりとした雪崩状態となる。長治郎谷出合を通過したあたりで、剱沢上流側から4人の山岳警備隊員が走って下りてきた。一人は要救助者をのせるソリを担いでいた。警備隊員の内の一人が近づいてきて「長治郎谷からではないですね?」と尋ねたので、「違います」と答えると、そのまま走って長治郎谷へ向かっていった。長治郎谷で事故があった模様。剱沢小屋から走ってきたのか、すごい体力だなーっなんて話していた。
 剱沢は、剱岳山塊の南東面を西から東に流れる大きな谷間である。真砂沢出合付近が最も狭く、その上下流は幅の広い谷になっている。上流側の剱沢雪渓は斜面の上の方まで雪に埋め尽くされ、空の青と雪の白のみとモノトーンで、見ようによっては月面にいるような無機質な景色である。人と出会うことがほとんど無いため、余計に宇宙にいるような妄想が浮かんでくる。しばらく行くと、山岳警備隊員が更に2名下ってきた。
 剱沢小屋はまだだろうか。エアリアマップでは2時間と書いてあったと思ったが(後で3時間の間違いだったことが判明)。歩き出して4時間を過ぎて小屋らしいものが見えてきた。テント場についたのが18時前。テント場をうろつく人を捕まえて「小屋はどこですか?」と聞いてみると、このトレースを更に登って1時間以上はかかると思うとのこと。どうも剱御前小屋のことを言っているらしい。剱沢小屋は、やはり雪の下。営業していなかったのだ。思い込みというのは恐ろしい。小屋とビールを楽しみに歩いてきたが、仕方なくテントを張る。
 
■5/6 テントを撤収して出発。テント撤収時には雨が降り始めた。剱御前小屋までは雨は降ったり止んだりで、順調に登り1時間足らずで到着。小屋でしばらく休憩する。7時半ころに出発。乗越では風が集まって厳しい強風。雨が顔に当たって痛い。雷鳥沢は幅広くなだらかなので、どこを下っているのか判らない。トレースを見失ってしばしば雪に埋もれる。雷鳥沢の野営場の手前でライチョウを発見。少しずつ遠ざかっていくのを見て、藤さんが荷物を放り出してカメラを持って追いかけていった。げっ元気ですね。
 雷鳥沢ヒュッテに9時前に到着。これで娑婆に帰った気分だったが、ゴールはまだ遠かった。すっかり気が抜けてしまったのに、前線通過の影響で強風と土砂降りに見舞われて、ズタボロな感じ。室堂に10時到着。カッパを着ていても、靴の中を含め全てがびしょ濡れ。
 悪天候の影響か、アルペンルートの混雑は大したことが無く、トロリーバス、ロープウェイ、ケーブルカーを乗り継ぎ、昼過ぎには扇沢の駐車場に戻ることが出来た。

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 今回明らかとなった自身の問題点・反省点を検証すると同時に、今回の山行は、私にとってどの過程もドキドキワクワクの連続で、まさに「山旅」とも言える楽しいものだった。
 最後に、藤さんには、企画の立案時から下山まで、終始、的確な示唆を頂きました。本当に有り難うございました。
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PS:管理人だす。どうもお疲れ様。
>空の青と雪の白のみとモノトーンで、見ようによっては月面にいるような無機質な景色・・・・
てのはpink floyd :wish you were here のCan you tell a green field from a cold steel rail?
A smile from a veil?
みたいでやんすな・・・・・・

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妙号岩
2017 / 04 / 29 ( Sat )
2017年4月29日   妙号岩     吉、伊

 妙号岩は大変久しぶりである。半日岩登り練習。喜ばしいことにリボルトされ、きれいに整備されている。ありがとうございます。
 今日は前ノ壁 左ルートⅣ、ハングルートⅥ-、中ノ壁 左ハングルートⅥ。中の壁は中央ルートⅢを行くつもりが、勘違いしてわざわざ難しい方を行ってしまった。下から見ているとまあ、行けるだろう、とあんまり考えてなかったが、ハングを眼前にすると、ゲッ!ムズイ・・・、さすがⅥ。初見でフリーで登る勇気はとてもなく、当然だましだまし登る。でも新しいハンガーボルトで整備されて、いいゲレンデだ。今日は奥ノ壁まで行ってないので、今度は奥ノ壁も登って大展望を満喫しましょう。

中ノ壁 ハング
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be colorful
2017 / 04 / 02 ( Sun )
2017年4月1日   be colorful   吉

 ホールド更新されたとのことで、久しぶりにお伺いした。まだ春休みで、1階は大勢の小学生の親子連れ。お邪魔にならないように2階でしばらく登っていたが、まだルートセットが少なかったので、1階に戻る。
 2020東京オリンピック競技になって、注目度が俄然上がっているボルダリング。なぜか圧倒的に女の子が多い。皆、柔軟性と体の振りがうまい!コンペ用ルートも登る子もいて、大人とのリーチ差を考えると、大したもんだ。

be colorful はアットホームな雰囲気で、自分でも楽しめる課題が多いので、本年度も練習させて頂きます。
(個人的な感想: クライミングジムに限らず、学術・専門書もそうで、 「中級者向け」の標記 → かなりムズイ・・・・・)
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烏ケ山
2017 / 03 / 20 ( Mon )
2017年3月19日~20日  烏ケ山  西、吉

 久しぶりに雪の伯耆大山山系を訪れた。西さんの車で西宮を出発し、鏡ケ成で幕営。鍋がうまかった。
 4時起床。準備をして出発。積雪が豊富なので、雪面が固い早い時間のうちに済ませたい。
 トレースを進んで、南東側の稜線と北東側の稜線のどちらにするか迷い、距離的に近い南東側の稜線に出る。この稜線は間もなくトレースがないが、理由が分かった。シュルンドのようなひび割れが多くあり、痩せ尾根が結構やばい。ロープを出して慎重に進む。
 つるべで西さんが南峰に到着し、本峰を見上げる。これ登れるの??と思うぐらい切り立っている。しかし、近付くと傾斜がさほどでなく、じっくり登り登頂。天気も良く大山の東壁が素晴らしい。帰りは慎重に本峰を降りて北東尾根側から下山した。
 普段天気の悪い大山山系も、3月になると安定するかな、また行きましょう。(ちなみに最近の車は電波のボタンでエンジンがかかりますが、アバランチのスイッチをオフにしてください。我々もなんでエンジンかからへんの??と結構悩みましたが、アバランチのスイッチの影響だったようです・・・。)

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このピッチが一番怖かった
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切り立った本峰
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頂上
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大山東壁
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烏ケ山北壁  雪屁を踏みぬくとちょーヤバイ
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雪彦山
2017 / 03 / 13 ( Mon )
2017年2月18~19日 雪彦山  藤・西

 例年なら年度末3ヶ月は休み無しが普通だが、今年は前倒しで年度末の繁忙状態が10月位から続いていたので、そろそろ収束に向かいつつある。藤さんがのんびりキャンプを楽しみつつ雪彦山でも見に行かないかと誘ってくれたので、先週に続き山に行くことにした。
 西宮北口9時集合。藤家の車で出発。買い物などしつつ雪彦山の南側登山口に昼前に到着。今日は通常の登山道で頂上まで行こうと言うことで、小雨が降る中を13時過ぎに出発した。
 登山道は尾根を辿るのだが、しばらくは植林の中でつまらない。30分ほどで展望岩に到着。雨は止んでいたが、地蔵岳が見えるも白く霞む。このあたりからは岩稜上となり、次第に修験道の行場らしい岩がちな景色となる。さらに30分位行くと、巨大な岩塊が出現。出雲岩だ。下部が思い切りハングしていて、古い人工登攀用のピンが点々と残されている。岩稜上の登山道は巨岩の隙間を抜けたり鎖場があったりとアスレチックな道で変化に富んで楽しい。15時前頃に大天井岳到着。稜線をもう少し北上したところから東へ折れて地蔵岳方面の急斜面を下山したが、稜線を外れて東向き斜面に入ったとたんに大量の積雪。たまに不明瞭な踏跡(雪の凹み)があるくらいでルートが不明瞭だし、雪で埋まった岩の間隙に嵌まりそうで下りづらい。地蔵岳北側をすり抜けて地蔵沢あたりまで下ってくると地蔵岳の偉容が間近に望めた。
 以降、地蔵沢沿いの登山道を下るが、周辺のケヤキ林が中々良い。春頃に来たら色々花が咲いてそうな気がする。
 登山口に16:30頃に下山。キャンプ場が冬季閉鎖状態なので駐車場にテントを張って、鍋で一杯。酔っ払って寝てしまう。

 翌朝、6時過ぎに起床して、ゆるゆると朝食。テントをたたんでから、三峰と地蔵の岩場見学へと8時頃出発。アプローチの谷には雪が多いので、足元は冬用装備。地蔵岳東稜に取り付いてみて、アイゼンで登れるところまで登って帰ろうということにした。
 取り付きまでは沢沿いを行く。私の勘違いもあって、地蔵沢と不行沢の分岐あたりで迷ってウロウロした。地蔵沢左岸に合流する意外と細い不行沢を遡れば、三峰に辿り着つきます。お間違いなく。
 三峰の下部はハングしていて、下には崩れ落ちた岩が堆積している。岩の表面はフレッシュな崩壊面で硬くてギザギザしている。岩場とは言え樹林に接しており、風通しも陽あたりも良くない。暖かい時期に来たら、身の毛もよだつヒルたちが集団で我々を狙うことだろう。
 しばし見学後(全く歯が立ちそうもない)、往路を少し戻ってから不行沢の登りづらいチョックストンの越えて地蔵岳東稜の取り付きに至る。
 東稜のとりつきの岩場は、三峰と比べて開放的で気分が良い。岩質はほとんど百丈岩。やや赤っぽい流紋岩質の溶岩で、穴ぼこや空洞があちこちにある。アイゼンを付けて、まず私がリード。久しぶりでビビる。フォローで藤さんが登り出すが、アイゼンを付けたときに登山靴の靴底が剥がれてしまう。登攀途中でアイゼンを外し、壊れた登山靴のまま登って来た。次に藤井さんがリードで登る。2ピッチ目の登りだしは傾斜が緩く、少し登ったあたりに懸垂に使えそうな支点がいくつかあったので、そこから懸垂で下るものと思っていたが・・、ここからが藤さんの真骨頂。傾斜がキツくなる地点まで達しても、逡巡しながら壊れた登山靴でゆるゆると登っていく。より傾斜が厳しくなった乗り越しのところではかなり時間をかけていた。フォローで登ってみると、乗り越し箇所は石英斑岩の層で穴も出っ張りもなく支点もない硬いつるつる岩。良くここをあの靴で越えたなーと感心しました。アイゼンもガリガリと滑る。
 このピッチですっかり疲れてしまったので、ここから懸垂で下り、登山道より下山した。
 中々面白い山ですね。ヒルさえいなければ・・。ヒルがおとなしい早春か晩秋にまた来ましょう。

雪彦2
雪彦1

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